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「なぜ腰が痛いのに太腿の前を触るんですか」に答える:仙腸関節とASISの高さから始める患者説明

2026-10-19 | 患者説明

腰が痛い患者の、太腿の前を触る。新人がここで止まるのは、手技が分からないからではなく、「なぜそこを触るのか」を患者に言えないからです。説明できないと、触る手も迷います。

藤井翔悟の仙腸関節の解説動画は、この「なぜ」を順番に説明しています(出典1)。この記事はその順番を、新人がそのまま患者に話せる形にしたものです。

前提:仙腸関節の可動性を「ある」として扱う

動画は、仙腸関節が動くかどうかの議論から入ります。「解剖学的にはほとんど動かないという意見があるのは承知の上で、手で触っている人間からすると、手の下でいろいろなものを感じる。ここでは動くという前提でやる」(出典1の要約)。

新人が知っておくべきなのは、この前提を講師が明示している点です。評価や手技には前提があり、前提を言えることが説明の第一歩です。患者に話すときも「仙腸関節はわずかに動く関節で、その動きが悪いと腰や首に負担が出ることがあります」と、前提から入ります。

手順1:ASISの高さを左右で見る

動画の評価は、ASIS(上前腸骨棘)の高さを左右で比べるところから始まります。「ASISの高さがまず揃っているかどうか見て、高さが揃っていないところで、特に縮こまっている側があれば、そちら側の仙腸関節の可動性が悪いことが非常に多い」(出典1)。

新人の手順です。

  1. 患者に仰向けになってもらう
  2. 左右のASISに指を置く
  3. 高さの差と、「縮こまっている」側(骨盤が上に引き上がって見える側)を確かめる
  4. 差があれば、その側を「可動性が悪い可能性がある側」として仮に置く

ここで患者に言う言葉は「骨盤の左右の高さを見ています。片側が引き上がっていると、その側の関節が動きにくくなっていることが多いんです」です。

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手順2:引き上げている筋を特定する

骨盤を引き上げているのは何か。動画の答えは、ASISから前方に走る大腿筋膜張筋です。「前のところの大腿筋膜張筋が、この仙腸関節の硬さと実は連動している。リンクしている」「この知識を持っていれば、仙腸関節を調整することや殿部の筋を緩めることが非常に楽になる」(出典1)。

大腿筋膜張筋はASISの近くから起こり、腸脛靭帯を介して下腿まで続きます。この筋が縮んでいると、骨盤の前側を下へ引き、仙腸関節の動きを制限する、というのが動画の説明です。

患者への言葉は「骨盤の前側から太腿の外側に走る筋があって、ここが縮むと骨盤を引っ張って、腰の関節の動きを止めてしまいます。だから腰が痛くても、まずここを見ます」です。

手順3:触って、左右の差を確かめる

ASISのすぐ下から外側へ、大腿筋膜張筋の筋腹を触ります。

  1. ASISを目印に、その下外側の筋腹を触る
  2. 左右で硬さを比べる
  3. 手順1で「縮こまっている」と判断した側と、硬い側が一致するかを見る

一致すれば、評価が1本につながります。「骨盤の高さの差 → その側の仙腸関節の可動性 → 引き上げている大腿筋膜張筋の硬さ」。一致しなければ、他の筋(動画では大殿筋、中殿筋、多裂筋も挙げられています)を順に見ます(出典1)。

説明の型:痛い場所と触る場所をつなぐ3文

新人が使える説明の型を、3文にまとめます。

  1. 前提:「仙腸関節はわずかに動く関節で、動きが悪いと腰に負担が出ることがあります」
  2. 評価:「骨盤の高さを見ると、右が引き上がっています。右の関節が動きにくくなっている可能性があります」
  3. 理由:「骨盤を引き上げているのは太腿の前外側の筋なので、そこを緩めてから関節を見ます」

痛い場所(腰)と触る場所(太腿の前外側)が、評価と理由でつながります。この3文が言えれば、患者は納得し、新人の手も迷いません。

注意点

まとめ

「なぜそこを触るのか」は、評価が言葉になっていれば答えられます。手技より先に、この3文を自分の言葉で言えるようにしてください。

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出典・参考
  • 藤井翔悟「仙腸関節」解説動画の文字起こし(仙腸関節の可動性と腰痛・頸部痛の関係、ASISの高さの確認、縮こまっている側の可動性、大腿筋膜張筋と仙腸関節の硬さのリンク):株式会社藤井翔悟事務所 内部資料
臨床1年目ノート 編集部
株式会社藤井翔悟事務所の編集部。代表・藤井翔悟(理学療法士)の指導動画の文字起こしを一次情報に、AIの下書きを編集部が確認して公開しています。臨床判断は各自の資格と責任の範囲で行ってください。