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教科書の筋名を「指で言える」ようにする最初の1か月:新人が触診で最初につまずく場所

2026-10-19 | 触診

国家試験に受かった時点で、筋の名前と起始停止は頭に入っています。それでも臨床に出ると、患者の体で「ここが大腿直筋です」と指し示せない。新人が最初につまずくのはこの段差です。

藤井翔悟の膝痛の指導動画では、受講者(経験のある治療家)に対してさえ「大腿直筋の走行をまず知らないとダメ」と言い、その場で大腿直筋、膝蓋腱、その下の中間広筋を順に確認させています(出典1)。経験者でもここに戻るのですから、新人がここから始めるのは遠回りではありません。

この記事は、最初の1か月で3つの筋を「指で言える」ようにする練習を、週ごとに分けたものです。

なぜ「覚えている」のに「指せない」のか

教科書の図は、皮膚も脂肪も筋膜も取り除いた状態で描かれています。患者の体では、同じ筋が皮膚の下にあり、隣の筋と境目なく並び、人によって太さも位置も違います。覚えた知識と、指の下の情報が結びついていないのが原因です。

同じ動画で講師は「丸暗記してもあかん」「まず1語ずつGoogleで調べる。AIに聞いてもいい」と言っています(出典1)。暗記した名前を、走行と役割と「触るとどう感じるか」に結び直す作業が要ります。

第1週:大腿直筋を「走行で」指す

最初の筋は大腿直筋です。大きくて浅く、新人でも見つけやすい筋です。

  1. 起始(下前腸骨棘)と停止(膝蓋骨を経て脛骨粗面)を声に出す
  2. 自分の太腿で、起始から停止まで指でなぞる
  3. 膝を伸ばす力を入れて、硬くなる筋腹を確かめる
  4. 家族や同僚の太腿で同じことをする

動画では、受講者が大腿直筋を見つけた瞬間に講師が「見つけた、やるやん」と確認しています(出典1)。見つけたかどうかは、自分では分かりにくい。人に確認してもらう場面を、第1週から作ってください。

第1週の到達点

「大腿直筋はここからここまで走っている」と、相手の体で指でなぞりながら言える。

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第2週:中間広筋を「層で」指す

次は中間広筋です。大腿直筋の下にあり、表からは直接見えません。

動画では講師が「この大腿直筋の下に、中間広筋という筋肉がある。これは大腿四頭筋の一つ」と、大腿直筋を確認したあとで、その下の層として説明しています(出典1)。

  1. 第1週で見つけた大腿直筋の筋腹を確かめる
  2. その下の層に中間広筋があることを、図と照らして確認する
  3. 大腿直筋を少し横にずらすように押し、下にある抵抗を感じ取る
  4. 「表の層が大腿直筋、その下が中間広筋」と言葉にする

ここで学ぶのは、筋には層があり、触診は深さの判断を含む、ということです。表面の筋だけを「触れた」と思うと、深い筋の問題を見落とします。

第2週の到達点

「表の層と下の層」を、押す深さを変えて区別できる。

第3週:後脛骨筋の腱を「骨の目印から」指す

3つ目は後脛骨筋です。筋腹は下腿の深い位置にあり、新人には難しい筋です。しかし腱は内果(内くるぶし)の近くで触れます。

動画の説明はこうです。「内果の骨の真ん中から下をなぞっていくと、グリッとした後脛骨筋の腱がある。そこを持ってグッとした時に、ここがふわっと緩む」(出典1)。

  1. 内果を見つける(骨の目印)
  2. 内果の真ん中から下へ、指でなぞる
  3. 腱の硬い感触を見つける
  4. 足関節を動かしてもらい、腱が指の下で動くことを確かめる

骨の目印から筋や腱を探す、というのが触診の基本です。皮膚の上の見た目ではなく、骨から数えます。

第3週の到達点

内果から後脛骨筋腱まで、骨の目印を使ってたどれる。

第4週:3つを「左右で比べて」言葉にする

最後の週は、3つの筋を左右で比べ、差を一文で言葉にします。

筋右左
大腿直筋筋腹が太く、力を入れると硬い右より細い
中間広筋深く押すと抵抗がある右より抵抗が弱い
後脛骨筋腱内果の下で硬く、動かすと滑る腱は分かるが細い

「硬い」だけではなく、「どう硬いか」を書くのが練習です。動画でも講師は受講者に、緩む手応えを繰り返し確認させています(出典1)。手応えを言葉にできれば、先輩に伝えて確かめてもらえます。

1か月の先にあるもの

この1か月で身につくのは「筋を指で言える」ことまでです。その先にある「痛みの出る範囲から原因を分ける」評価や、「なぜそこを触るのか」の患者説明は、別の記事で扱います。

一人の練習には限界があります。自分の「硬い」が先輩の「硬い」と同じかどうかは、人に触ってもらわないと分かりません。職場の先輩、勉強会、セミナー、どれでも構いません。1か月の練習をしておくと、直してもらったときに何がずれていたかがその場で分かります。

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出典・参考
  • 藤井翔悟「膝の痛み」指導動画の文字起こし(大腿直筋の走行確認、中間広筋の位置、後脛骨筋腱の触り方、「丸暗記してもあかん」「1語ずつ調べる」の指導):株式会社藤井翔悟事務所 内部資料
臨床1年目ノート 編集部
株式会社藤井翔悟事務所の編集部。代表・藤井翔悟(理学療法士)の指導動画の文字起こしを一次情報に、AIの下書きを編集部が確認して公開しています。臨床判断は各自の資格と責任の範囲で行ってください。