痛みの「出る範囲」で原因を分ける:可動域の途中で出る痛みと、終わりで出る痛みは別物
「膝が痛い」と言われたとき、新人は手技を思い出そうとします。しかし先に要るのは、痛みがどの範囲で出るかを聞くことです。この1つの問いで、見る場所が2つに分かれます。
藤井翔悟の膝痛の指導動画では、同じ「膝が痛い」を2種類に分けて説明しています(出典1)。この記事はその分け方を、新人が明日から使える手順にしたものです。
問い:痛みは、曲げていく「途中」で出るか、「ある角度から先」で出るか
患者の膝をゆっくり曲げていきながら、どこで痛みが出るかを確かめます。答えは大きく2つです。
| 痛みの出方 | 見る場所 |
|---|---|
| 可動域の途中だけで出る(そこを過ぎると出ない) | 関節の滑り。膝蓋骨と大腿骨の間 |
| ある角度までは大丈夫で、そこから先はずっと痛い | 筋の長さ。短縮した筋が伸ばされる限界 |
動画の説明を引用します。
可動域の途中だけで出るということは、大腿骨と膝蓋骨が順番に滑っているところで、ここで固まって詰まっている。だからここの問題(出典1)
ここまでは大丈夫で、ここから全部痛いとなったら、筋群が短縮しているから、ある一定の範囲までは痛みは生じない。けど、それ以上の負荷がかかると痛みを出す(出典1)
型1:途中だけで出る痛み → 関節の滑りを見る
膝を曲げる動きの中で、膝蓋骨は大腿骨の上を滑ります。この滑りが途中で引っかかると、その角度だけで痛みが出て、過ぎると消えます。
見る場所は膝蓋骨の周囲です。動画では講師が、膝蓋骨の周りの筋腹を順に触って硬さを探し、硬い場所を押さえたまま膝を曲げてもらい、「全然痛くなかったでしょ」と変化を確かめています(出典1)。
新人の手順は次の通りです。
- 痛みが出る角度を患者に言ってもらう(「ここ」と指してもらう)
- 膝蓋骨の周囲(上・内・外)を順に触り、左右で硬さを比べる
- 硬い場所を軽く押さえたまま、もう一度曲げてもらう
- 痛みが変わったかを聞く
手技はまだ要りません。「押さえると変わるか」を確かめるだけで、原因の場所が絞れます。
LINEに登録すると、筋膜リリース徒手療法の無料動画が届きます。月額制のオンライン講座「疼痛治療大学」とセミナーの案内も同じLINEで受け取れます。合わなければブロックで解除できます。
LINEで無料動画を受け取るセミナーの日程を見る型2:ある角度から先がずっと痛い → 筋の長さを見る
短縮した筋は、ある長さまでは問題なく伸び、それを超えると痛みを出します。動画では「痛みの基準の差」としてこう説明されています。「ここまでの長さは大丈夫だけど、これ以上伸ばしていくと、そこからずっと筋膜性のスパズムのようなものが生じる」(出典1)。
見る場所は、その動きで伸ばされる筋です。膝を曲げる動きなら、大腿前面の筋(大腿四頭筋)が伸ばされます。
- 痛みが始まる角度を確かめる
- その角度で伸ばされている筋を、走行から考える
- その筋の筋腹を触り、左右で硬さを比べる
- 伸ばす前に筋腹を緩める方向で触り、角度が変わるかを見る
型1と違い、「どの角度で」ではなく「どの筋が」が問いになります。
2つの型を混ぜないために
新人がよく混ぜるのは、型2の患者に型1の見方をして、膝蓋骨の周りばかり触ることです。逆もあります。混ぜないために、最初の問いを飛ばさないでください。
- 途中だけで出る → 関節の滑り → 膝蓋骨の周囲
- ある角度から先がずっと → 筋の長さ → 伸ばされる筋の筋腹
動画でも講師は「膝はこういう感じで種類が違う。なぜ痛みが出ているかは、関節のこと、筋肉の起始停止、運動のことを知っていると分かってくる」と、分け方の根拠を解剖と運動に置いています(出典1)。
患者に説明するときの言葉
評価が分かれれば、患者への説明も分かれます。
- 型1:「曲げる途中でお皿が引っかかっています。お皿の周りの硬さを見ます」
- 型2:「ある角度から先は、太腿の前の筋が伸びきって痛みを出しています。筋の硬さを見ます」
「なぜそこを触るのか」を患者に言えると、新人の説明は一段上がります。評価が言葉になっていれば、説明も言葉になります。
まとめ
- 最初の問いは「痛みは途中で出るか、ある角度から先か」
- 途中だけ → 関節の滑り → 膝蓋骨の周囲を左右で比べる
- ある角度から先 → 筋の長さ → 伸ばされる筋の筋腹を左右で比べる
- 手技の前に「押さえると変わるか」で場所を絞る
この分け方は膝の例ですが、考え方は他の関節にも使えます。関節の滑りか、筋の長さか。この2択を最初に置くだけで、新人の評価は迷わなくなります。
LINEに登録すると、筋膜リリース徒手療法の無料動画が届きます。月額制のオンライン講座「疼痛治療大学」とセミナーの案内も同じLINEで受け取れます。合わなければブロックで解除できます。
LINEで無料動画を受け取るセミナーの日程を見る- 藤井翔悟「膝の痛み」指導動画の文字起こし(可動域の途中だけで出る痛みと、一定角度から先で出る痛みの区別、大腿骨と膝蓋骨の滑り、短縮した筋の長さの基準):株式会社藤井翔悟事務所 内部資料